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旅行を思う秋
旅行を思う秋

何かの暗がりに見えた時のどこかで、茂みの方からの音にも気を配る。今日も何もしなかったと。そうしてはまた、ベンチで時を過ごした。枯れ葉のつもり始めた広場、なけなしの暴落した株の配当金。社長の言葉と夢を、まだ僕は信じていた。でも、そんなことは忘れて時は流れた気がしたけれど。とても古いモニターにカビのようにつきはじめた白い星形の斑点。これを買ったのは当然のように中古だったけれど、あれからどのくらいだっただろう。あれから、でも僕は、生きてきた。スーパーで経費を減らし、季節の野菜を手に入れた。空芯菜も最近はあるので驚かされる。そうだった、でもイタリアではマンゴーも栽培できるようになったのだ。火災が多くて、大変らしかったけれど。僕はこういった気候に体を適用させることのほうが大変なのだ。顔を世界に向ければ、寒い国のほうが影響は大きい。自転車の前輪付近から少しだけ異音がする気がする。僕は疲れた。でも、僕は音に関しては敏感で、何かがいるということをすぐに知れた。賑やかな休日の街で。横を通り過ぎた人で。遠くには雲だけがある。時々、雲は見たことの無い形だった。山が見えていたのはどこだっただろう。きっと、その影響は西日本の方がありそうだ。色と、でもそして形。今は失われて無かったとしても、そんな気がした。

少しだけ外に出かけると、街はまだ、少しだけ暑かった。夜になると急に気温が下がるのだ。そんな気がした、今は。また誰かに会いたいものだ。旅行先の名前も知らないガイド。彼は名前を覚えてくれと、少し怒った。あれはフィリピンだった。顔は今でも良く覚えているけれど。出す金も惜しまずに過ごした時間、ああいった時間こそが夢のような時というのだろう。誰も今は、お互いのことは忘れたであろう距離の中で、生きているのだろう、誰もが。