ワゴンの音

月曜日は原宿だった。明治神宮の参道にもいつのまにか慣れていたものだった。僕がここに初めてきたのは、そう遠い昔のことではなかった。苦境に立たされていた日もあった。悲しいことが多かったあの頃。僕は、路地裏で体を売り買いされる娘を良く見かけたものだった。ただ、悲しみや絶望というのは、多くの人の共鳴や深い共感をいつもそこに持っている。大衆歌謡というものも、そのほかならぬ、象徴だろう。それはでも、なぜ、見られるわけではなく、歌われるものなのだろうということを考えながら歩いていた。時々僕は業務スーパーで食材を買い込んでいる。不思議な、あれはなんだろう、高級な肉や食べ物にはないような味がそこにはあった。ある意味、究極的な味とでも言えるような何かが。しかし何となくイケアで、かわいい、あのワゴンを一台買おうかと僕は悩んでいる。