飲みすぎた炭酸レモン水

灼熱の太陽が今日も照りつけていた。連日の晴天続きでカラカラに乾いたコンクリートの上。今年の渡航地について、青山通りを行き交う車に、少しも目をとめることもなく考えていた。女の後ろ姿を見ない日はない僕の会社までのつかの間の道。着飾っているような、いないような、トレンド物のその姿。僕がバンコクに行ってきたのは去年のことだ。通過したに過ぎないけれど、行ってきたのだと言うよりも。印象に残っているのは、その土壁に光の当たる夜の道。フランスのマルセイユでも似たような経験をしている僕。排泄物の匂いのする高架下で、野宿していたトランクを持った人たちの姿を見た。その一時的な場所ゆえに、目的地よりも深い印象を人に与えるのかもしれない中継地。あの頃の僕は、それにしても、もう二度とそこで会った人と同じような話をしたり、出会うことはできないのだけれど…。

あの日マルセイユをコート・ダジュールへの中継地として使っていた僕。予約していた宿を探し当てることができず、タクシーに僕は連れて行ってもらおうとした。グーグルマップなんて便利なものはなかった当時だった。若い女の子に道案内を僕はたのんだ…。否定はできない、僕に下心があったなんてことは。警察等を回ってくれたアブリルラビーン風の彼女…。オープンカーで手をふっていたヤク中のような気軽な知り合い。案内が終わると金をそれとなくせびってくる女の子。そこかしこで日常茶飯事の、若い男女のナンパも繰り広げられる。そんな点では、似ていたのかもしれない、ブラジルに。