
私はそれで、雨がちな外の通りを、待ち受けるものへと歩いたのだった。手には、コテージに備え付けられていた傘をさして。伝統的なタイ料理には懲りていて、融合させたハンバーガー屋が人気らしいとのことで、そこへと。入ると、しかし、やはり一人は珍しいという感じの目で見られたわけだが。客自体は少なかった。ハッピーアワーとのことでモヒートを注文。しかも、ハンバーガーと合わせて900円程度だったので、ディナーとしてはかなり安い。そしてなによりもうまかった‥。マッシュポテトのフライに若干タイっぽさが残されていたが、肉厚な肉の味がジューシーでとても濃厚なのである。味をしめて、また来ようと思った。
帰りには、ややきつめの酒で酔った勢いでオカマバーでショーを見た。僕を出迎えてくれた色々な彼ら。そこで、男が外的な個性を持つとこのようになるのかということを確かに感じさせられた。私は店員にタイ語のレッスンをしてもらった‥。ただ、一人できているのは私ぐらい。ガイドに出ていたショーの時間に合わせての訪問だった。そのクオリティは高いと思ったが、サブカルの一端を担っているようにも感じさせられた。その踊りを見ながら、人が生きるということとはどういうことなのだろうと、この小さな島の闇の中で一人で、少しだけ考えこんでいた‥。僕は帰りに彼らが持った募金箱のようなものにチップを入れた。そこで彼らの一人にどこへ行くのかと呼び止められたが、意味もないので、それを振り切って。
僕は翌日ホテルをチェックアウトした。同じホテルは飽きるので別のところを予約していた‥。フェリーの桟橋に近いところを。1000円ほど高かった。フロントでタクシーを呼んでもらうと600円とられた。フロントで、そしてのんびりバナナを食べているとハワイアナスのサンダルをはいたおじさんが迎えに来た。タイ人の老後の福祉などは、僕はどうなっているのかとそのときふと思った。そんなものは無いのかもしれない‥。無いといえば、そのホテルのフロントにも壁自体が無かった。
そして、新しい新居はちゃんとしたホテルで、面積も二倍ほど広かったのだった‥。しかし広すぎておちつかないというのはある。ベランダに出ると海も木の向こうに見える。その日は晴れていて、とても気持ちよかったものだった。釣りのツアーに参加しようと思っていたが、予約はしていなかったのですることもないので外でバイクを僕は借りた。600円と、こちらもかなり安い。借りる時にパスポートを預けさせられ、原付きも乗ったことがなかったので操作に不安はあったが、すぐに慣れた。僕はそして、免許自体は持っていた。