
今さっきすることもなく五反田までサイクリングに行ってきたらスタバの横にあったあんなに大きい書店がコンビニに変わっていた。ネットが与える影響によって、街は今も止まることなく変化を続けている‥。今後もデバイスの性能の向上や、ネットや流通の高速化が進めば街は廃墟のようになってしまうのかもしれないと思う夜。
私はあの日、出港した船に揺られながら船員から渡された弁当を食べていた。やはり自前ではなく配給されるという話だったらしい。蓋を開けるとナシゴレンで、味は薄かったが、かなり美味しい。飯と名のつくものはほぼタダ同然で食えたタイ。そしてしかも安全かつ量も大量でうまかった‥。食べた後は、子供のようにまた潜った。かなり深いところも波が無いので安全だ‥。サンゴが美しいとされる湾など。繁っている岩の上にいると、船員がこちらへ来いと案内したが、僕は彼らについていくのがやっとだった。体力以上に、すでに年齢的なものなのかもしれない。
欧米人はそういった時の競争が好きで、私は彼らに気疲れさせられるのだ。山に登るときも、とにかく、どこに行くときも見せつけるかのように人の前をとってくる。しかしここはタイ。どうしようもないほどに、まったりとしたアジアだった‥。小さなサメを見たとt氏が言っていた‥。多分それを見た周りも興奮していたことだろう。私は遅れをとっていたが。
それから何箇所も湾を周り、やがて最後のシャークベイと呼ばれるところまでくると潜る人もすでに少なく。女子はサメが怖いからなのか船の上で休んでいる様子。何も特別なものを見ていなかった私は、必死でサメの場所を探した‥。長時間潜ったあと水面に上がると、すでに皆が船に戻っていたので私もイソイソと海中を見ながら戻っていると、深い場所の色濃い海中の奥から二匹のサメがぼんやりと現れた。焦りながらも、私は必死のコントロールでiPhoneの動画のボタンを押す。交尾中だったのか?2メートルほどのサメはこちらに気づくとなんとなく向かってきたので、恐怖を感じた私は近づくこともできず慌ててそこから逃げた。
船に上がった私はtにサメを見たとぼんやりと報告。iphoneを見ると、動画は反映されていなかったようで残念に思ったが、それを後で見ると、しっかりとファイルが残され、撮影できていた‥。彼と喜びを共有したかったが‥。そこからエンジンをかけた船はちょうど島を一周したところで、出発した場所である元の湾に戻り始めた。いつのまにか、しかし天気はかなり悪い。雲が立ち込めていた‥。そして風が吹き、夕立のような雨が空からドッと降り出した。iphoneも袋に入れていなかったら今頃は使い物にはなっていなかったことだろう‥。
桟橋につくと、朝送ってくれた見慣れた青年が私のことを待っていた。tは自分のバイクがあるので、そこから、パッとどこかに消えた。今は時間がなかったからなのか、雨が止むのを待たずにどしゃぶりの中をバイクで送ってくれたやせた青年。ホテルのフロントのところで最後の別れのような苦笑いをした姿を今でもよく覚えている。僕は無性に風呂に入りたくなったが、無いのでシャワーを浴びた。そして、今日は晩飯をどこで食べるべきかをガイドブックを開いて考えながら、ぼんやりと、ベッドの上で重いまぶたを支えていた‥。