次に移る部屋を遠くから見ると、ブレーカーを上げっぱなしだったようで、電気が入った関係で明かりが無人の部屋に灯っていた。僕は前の家主が戻ってきたのかと思ったが、そうではなかったようで。中に入ると結構暑い。思い描いていたような欠点ではあったが、換気システムを使えば多少はマシになるのかもしれないとは思うのだ。ベランダの床面が部屋より多少高い位置で、それも、なんとなく懸念している構造ではあった。金を口座に用意しなければ。容易に虫などが入ってくるのではないかというのが不安だがとりあえず意味もないのに電気を消して、外に僕は出た。手を入れれば入りそうな、郵便受け。そして、そこで原子力エネルギーで沸かした風呂というのはどのようなものだろうというわけのわからないことを考えていたのだ。
結局のところ、発電というのはタービンを回すということにつきる。太陽エネルギーはそうではないけれど、イケアの一日の発電量を見る限りは、それは効率が悪すぎるような気がしていた。数年前に提唱された太陽光発電のパネルを販売していた会社は、随分と倒産したという話を聞いたことがある。今夜も暑くなりそうだった。僕もパネルをベランダに置いてみようと思ったけれど、途方もない時間が資金の回収を考えると必要とされるようだった。太陽光ではその得られる発電量が低すぎたのだ。だから、やはりタービンを回すべきなのだ。しかしタービンを回すほどの勢いのある蒸気というのは僕はどのようなものなのかが想像がつかなかった。あれは一体なんだろう。僕は、きっと、蒸気機関を学ぶことからはじめるべきなのかもしれないな。
外を少しだけ歩くと巨大なカエルの死体を見た気がした。今日はあの株を買おうと思った。空には、郊外ではあるが星が見えない街だった。いくつかの工場から帰る人達の群れとすれ違っていく僕はいた。同じような時間なので、そこには見慣れた顔の人もいたのかも知れない。スマホを見ると開場していた。何を求めて、そして、生きているのかと思った。都会とは違ってコンクリートの壁は見当たらないこの街のどこかで。