自転車で思い出を走った

特に何も考えることもなくこげのすこしついた魚を焼いてそれを食っていた。自転車に久しぶりに乗って、昼頃、隣町にまで行ってきたが、特に、変わらない景色があるだけだった。将棋の限られたコマ数で作られる彩り豊かな戦型とは違って景色はいつもと変わらずよく似ていた。新しいマンションが、でも、できていたようだった。明るい南側が道路に面していて北側が川に面しているという致命的な条件のマンションだった。僕はそこで出した足をおろしていたのだ。何かを考えながら支えている自転車の上で見えないどこかに行こうと思っていた。