記憶の断片

今はなにも思うこともなく、夜である、窓の外を知っている。今はそして寒さをそこまで感じてはいなかった。ストーブを、少しだけ燃やしていたからかもしれないしヤカンも上にはのせられていた。蒸気が、そこにたっていたということは僕はでも覚えていたのだ。今はもう、熱も冷めてしまっていることだろう。若い頃の恋愛みたいにぼんやりと部屋を流れていた時間をたぶん今は覚えているであろう、木の香りと日の差していた部屋の窓と窓の中の外に見えた垣根の木。そして、なにかをしに、木から出かけた。ゲームセンターの記憶が空に蘇る時に、なにも考えていない時は僕の100円ショップの外観ように昔は見たことのなかった世界として展開する。

そこにいたということだけで、なにも、10年前の記憶は時々思い出すこともあるけれど確かではないのだ。自分が若かった頃の、年上だった女性からの態度を時々、僕は思い出している。100円ショップであれはどこにあるのかといったことを聞いたときの態度のことだとかを。僕は、そこで、どう聞けばよかったのだろうかと、家に帰って考えたりもした。そしてそれは記憶していたことのほんの一部だったのだが違うことを覚えているわけでもなかったのだ。僕の昔受けた公務員試験の、休憩中に入った田舎の食堂の、光景だ。小さなロータリーのある駅に普段はいないであろう受験者たちがそこの改札を抜けてホームに集まっていた。僕は頭が良いので、次に来る電車の時間の前にその辺りをうろついていたけれど、特に関心を引くものはないと思わされていたのだ。