撮影現場の苦いコーヒー

ザラの、愛用していたパーカーが伸びてきてしまったので、ギャップで対応している日々だった。しかし、撮影していた着物のセッティングが物凄く大変そうだったアシスタント二名の姿を思い出させられる…。あんなに、酷使しても良いのだろうかと言うぐらいだった…。ただ、やはりシワがつくとキモノはサマにならない品物なので、どうしても、そのような状況になってしまうのである。カメラマン中心というのは、どのような撮影現場でも変わらないが、今回はアシスタントの方が逆に目立たせられていたのだ。そして、枚数は20着だった…。こういった撮影に立ち会ってみたのは良いが、僕は、立っていることだけで、精一杯だった。しかしああいった場所で味わうような、音楽と、コーヒーの味だけは、別格だ。そして弁当をおごってもらうと、元気になって帰ってきた二人。僕もあんなふうに、きっと、体を使って、働いていたような頃が、確かにあった気がする。そして怒られてばかりだった自分の姿を、そこで確かに思い出させられていた…。

そして、スタジオを出ると、暗がりの道を歩いた…。飲み屋で、菜の花や、しかし、株を、僕は、食べた。でも、それから、レバーパテなどをビールで流し込むと、すぐに、家に帰った。