
夜も、歯の痛さで眠れずに。しかし、酒すら飲めなかったというのは生きている心地がしない。そして翌日、会社を抜け出して、昼頃、歯医者へ。多少待たされたが、レントゲンをとられると、歯髄がやられているとのことらしい。ただなにかその写真を見ながら、生きていることが虚しくなって、死にたくなった。治療の跡ばかりで、自然な歯など、一本も無いのではないだろうか…。劣化しだしたのは、思えば、たぶん20代の終わりの頃だった。奥歯を二本削り取られ、それからは半年ごとに虫歯がどこかしら現れたものだった。体の方も、炎症が消えづらくなり、どれだけ医療費に金を使うことになってしまっているのだろう…。それにしても胃にしても、肺にしても、数え上げればキリがないほど、金のかかる体だった。
そして時々若さとはなんだろうと考えている。ししゃもやダオコの動画を見るとそこにある、熱っぽい情熱のようなもの…。失われてしまったもの、きっと、今の僕からは。どんなことでも、真剣になれる時期というのが、たしかにあったはずだった。そして部屋でAVばかりを見ていたあの頃…。僕もバンドメンバーを探したこともあったかもしれない。スーパーの袋を抱えて、雪の降る道を、そして歩いていた…。ボッタクリだとされる風俗店、腕の良くなかったマッサージ師。ミスチルが、当時は季節の行事のように流行っていたものだ。時々、しかし僕の部屋に友達が訪ねてきた。そして彼らを、僕は駅まで見送ることもなく。駅前では、リサイタルが時々行われていたものだ…。あの人は、小田和正のご推薦だとされていた。あれから、かれは、どうなったのだろうか…。
あの頃ファミレスでは、同い年ぐらいの人を見かけたりした。話は、会社を作るなどということを。目がやけに輝いていた男女のこと。あれから、彼らは、そしてどうなったのだろう…。僕はスポーツクラブを風呂代わりに使っていたものだった。そこで飲んでいた炭酸入りのスポーツジュースの、甘酸っぱい味。