渋谷とバンコクと

僕はこの街の中でどう生きていくべきなのだろう。そんなことを考えている、時々。もう、僕は社会のいいなりにはなることはできないように思うのだ。コンバースが擦り切れてしまうほど、仕事帰りに渋谷の街を休日でもないのに歩き回っていた…。無駄なものが詰め込まれたリュックが、そこに。自由になることだけを、ただ、求めていた。そしてまだ、白髪の増えた僕にもこの街でやれることがあるはずだと信じて疑わなかった…。ガンズアンドローゼスのtシャツを着て、ビームスに入った僕。誰も店員は寄ってはこなかった。あの日踊ったダンスホールの、心のなかにはまだ存在する愛すべきたくさんの女の子たちの姿。心のなかでは、そして今年も夏フェスの先頭で僕は踊っていた…。そして、まだ、いかしたロックバンドを追いかけて、厳しい人生の可能性をあきらめきってはいなかったんだ…。
去年の今頃、バンコクのドンムアン空港の近くのドミトリーのベッドの上にいた僕。シーツには、シワ一つ無い。髪を、若い女が一人で、人工芝の敷かれたベランダで乾かしていた。空腹を抱えて、高架下の屋台街へ繰り出した僕。バイクの列と切れ目なく続いていく車。どこにもなかった信号機。屋台街で腹を満たすとやや薄暗いセブンイレブンで飲み物と軽食を買い込み、ホテルへ、僕は戻った。皆店員が笑顔を浮かべてくれたのが印象に残っている…。そして日本では見かけない、いたるところに飾られていた仏壇。荷物が、ドミに戻るとベッドの上にはそこに無事に残されていた。危険とされる行為だろう、海外では。僕は、あまり現地人がいないのならばと。