野良犬との死闘
  • ヤシを入れたものの、島が邪魔か

 

時々部屋で、僕は僕と縁のあった友人のことを思い出すけれど、偶然だったにしても一つの傾向というのはあったのかもしれないと、目を閉じて、時々思い出しているのだ。すでに、どちらにしても、彼らはもう僕の前にはいないのだけれど。どちらにしても。過ぎた今はもう、10代20代といえば、しかし遠い昔の存在だ。そして別の生き物のようにも彼らの歳の人を今では感じられる。歳を取り、時間の価値が頭の中で大きく変わってしまったのだ。

 

でも20代前半、時間を忘れて神奈川のアパートで音楽活動をしていた頃の僕は何だったのだろう。当時はCDがぼろくそ売れていた‥。やる意味はあるとも思っていたけれど。それに、当時は夢を語る資格は、まだ僕にはきっと、あったのかもしれない。そんな気がする。しかし、時々暇そうな友人が訪ねてきたあの頃。IT関係の仕事をしていたkもその一人。彼は今では立派な、いつのまにか、二児の父だ‥。

 

旅行の方は、それからバイクに乗って、ホテルの方に一端それから、戻ったのだった。水着を忘れていたからだ。途中ゴミ処理場のような場所にいる野良犬を何匹か見た。しかし、ドーベルマンのような出で立ちで浜の方にいる連中とは違い、どこかヤバそうな雰囲気に感じさせられた。そして僕はそれからバイク屋で閉店時間を確認し、干しておいた水着を履いてルークビーチというところへ向かった。わりと分かりづらい道だったがどうにか到着。そして入場料をいくらかとられたが、スタッフがジュースをくれたビーチは海藻もゴミもなく整備されていて非常にキレイだったがキレイ過ぎてどこか人工的で殺風景な感じもしたのだった。波紋のゆらめきのように、それは、不思議な事だ。

 

しかしシュノーケルで潜ると、波紋が砂地に見えるほどの透明度。それ自体は思い描いていた南国のビーチだったのだが。この国らしさというものが消えていたのかもしれない。それに角度的にサンセットが望めそうにもない。しかし、なにか獲物を見るような目で私を見る、欧米人、子供多数。何を望んでいるのか目を見ても、目を閉じてもよくわからなかった。

 

そして、少し風が冷たくなってきたので、僕はホテルへ戻るバイクにまたがった。二股で道を少し間違えて、下り坂を引き換えして登っていると、下りの時にすれ違っていた野良犬たちが、そこで鬼のように待ち構えていたのだった。それらを、そこでスピードを上げて通り過ぎようとすると。追いかけてきた。確か、夕方から夜になると凶暴化するとガイドブックに書いてあったような気もするが、しかし、スピードはおそらく60キロは出ていただろうか。焦ってアクセルを回しても、どうにも一向に引き離せない犬の走りだった。

 

すると、対向車線から車とバイクが通りかかったのだった。あやうく正面からぶつかりそうになった。一匹をふりきったが、もう一匹の茶色の犬のリーチは余裕があり、さらに長く、ふくらはぎを噛まれると思ったがそこで飼い主が何かを叫び、僕の目の前から犬は、どうにか消えたのだった。