トロピカル・アイランドでのひととき
  • のちに娘のような人と来ているおっさんがいた

 

デザイナーというのは、色々な意味で、キャリアが長い人間はやはりどこか変わったところがあったりもする。m氏もそんな感じだった。そして彼女は、料理ができないがシャープなものの見方をするのだった‥。イラストやアート方面、軽音楽には全く関心がない。ただ、それとは対局にある、どこか抽象的な構成感覚がm氏には備わっているような気がしたのだった。

私は一度道を間違えつつも、ガイドブックのレストランにたどりついたのだった。しかし道の途中には、似たような名前の店が多すぎた。そこにバイクを止めて、中に入ると、清水寺のような、見晴らしの良いテラスに感動。注文しようとして質問していると、日本語ができる人を連れてこられた。そんな彼は数ヶ月前に日本に行っていたという。親切に絵を描いて教えてくれたが、僕のことはあまり好きではないということはなんとなくわかったのだった。しかし僕は彼と、なんとなく最近発生した台風の話をしたりしたけれど。

やがて運ばれてきた料理は海鮮のパサパサしたカレーで、口にした瞬間ウマイと思った。イカとエビが入っていたが、しかし、このようなコクの料理は初めてだ。僕はそれらをたいらげると、飲んだことのないような濃厚な味のオレンジジュースを飲み干し、アイスカフェラテを飲んでいた‥。タイはコスパ的には、おそらくフルーツジュースが一番だった。

僕はそれから、ぼんやりと遠くの風景を見つめていた。僕は天気の良い湾に停泊する、ダイビング用のボートを。しかし、南仏ニースのエゼという村でも似たような景色が眺められたが、ヤシがとにかく多かったのだった。そんな景色は、そういう意味ではやはりトロピカルアイランドといったほうが正解かもしれない。