ドミトリーと、バンコクの夜
  • 出発ターミナル

脳は何も考えていないまま、閉ざされていた目。旅の思い出のことで、頭が埋め尽くされた僕がせんべい布団に横たわっている。日本の晩夏の静けさは、バンコクの初日に泊まったドミトリーのソウルな雰囲気とは少しだけ趣を異にしている。車の絶え間ない国道沿いなのに、NYCのように、その音はなぜかみずみずしく、苛立つようには感じられなかった夜。男女共同トイレ兼シャワー室では、若い女の子が恥ずかしげもなくそこでドライヤーをしつつ、服を着替えていた…。

僕はフロントの子供のような若者の説明を聞いて、シャワー室でシャワーを浴びる前にさっそく転倒してから、気を取り直してベッドに荷物を置いて食事しに出かけた。さっきの女の子はテラスのベンチにいた。暑いのだけれど、風はなんとなく乾いている気がする外…。それから、街の労働者などがいる屋台でカオマンガイを食す。店員に、英語が全く通じないのには呆れた。指差し注文。客は地元民で、時々池袋にもいそうなファッションの労働者が現れる。注文してからジッと待っていると、最初に、おばさんがスイカジュースを持ってきてくれた。若干想像していたより水っぽいかなと思ったが、こんなもんだろう。ようやく来たカオマンガイは疲れもあってか、そのソースや肉に、非常に美味しさを感じた…。しかも、それらが210円と聞いたときには驚いた。

調子に乗って、帰りぎわにかき氷と干しフルーツのデザートを食す。これが味が微妙で、吐き気をもよおした。残して帰ろうとしたら呼び止められ、袋に入れてくれたやさしいおねえさん。欧米や日本では考えられない対応だ…。結局ホテルに残して出ていくことになり、悪いことしたと今では思っている…。

ホテルに戻ると、無くなっているかもと思っていたリュックなどがそこにはまだあり、一安心。欧米人の多いドミトリーではそういった危険性が伴われる。出国前に手配していた300円のWIFIルーターは簡単につながった。少し重くて若干バッテリーに問題ありだが、無いよりは良い。下のベッドには日本人らしきタイに慣れた感じのおっさんと、白人など。フランスや日本よりも広めのマットに、居心地の良さを感じた…。