寒かった日
寒空を見上げながら歩いた。古書店街の、変わらない街並み。本棚の並んでいる場所すらも、昔のままだった。でも、特に読みたい本があるわけでもなく。かつてはネットによってなくなると思っていた本屋街だったが、無くなるのは、飲食店のほうが足が早いようだった。古くからあった飲食店の方が先に姿を消していた。理由を考えると、仕入れコストがつくからだろうと思った。本はただおいておけば良いだけの話だった。古本は価値が上がり、新書で売れなかったものは、そこに業者が翌月回収しに来る。
僕はドトールに入り、コーヒーを飲んでいた。三井住友カードで、7%引きなので、よく使っている。300円のコーヒーで20円引きだ。そのようにして、暖かい店の中に座っていた方が楽だった。外に出て歩くことが苦行のようにも思える季節。派手なセールの張り紙が店頭から消えれば、あとは、春を待つばかりだった。