木の向こう側にある石像

窓を開けると景色は雪で、思うことすらも埋もれてしまうのではないかと思った。こうしていることすらも。ストーブをつけると中の芯にオイルが浸透していなかったらしく、火力が強くならないというアクシデントが。調べると、それは、放置しておく時間が必要らしかった。海を見たいと、でも、思っていた。そして遠くの駅に、僕は降り立った。そこから少し長い道のりを砂を蹴りながら潮の香りのする方に歩く。円形のアーチをくぐって、海の家の寂れた景色を通り過ぎる。夏の間は開業していたのだろうと思った。コンビニだけが、いつも入れるような場所だったのだ。それから交差点を、僕は見ていた。街は、今日も賑わっていた。夏の人の足で溢れたように見える街。その目的を思い浮かべていた。その、でも、直線に見えた景色は、かつて歩いていた渋谷のどこかだった。僕の歩いたいくつかの道。道はそこまで知られていた通りではない。そこから、今はもう無い、本屋の、どこかへと。