歯医者と株

いつも朝は思い出す、過去を見ていることを。通りを歩くこともなく、知らなかったはずの空を。さっき歯医者で削った歯の詰物を入れてきた。ぼんやりと窓の外を見ていると、虫歯ができた理由を思い出させられたがただの菓子の食い過ぎだったのだと反省していた僕は振り返れば子供の頃は親に制御されていたので虫歯にはならなかったのだと思うのだ。昨夜は凡ミスを繰り返してしまいADに申し訳なかったと思う、僕は日経平均が暴落していたので気が動転していたのだ。今は調整局面なのだという話もあるが資金をドルに換金しておいてよかったと思う、あとは介入直前でまた円に戻せば良いだけだ。二回は今年もありそうな予感がさせられていたが一回は確かに実行する気がしていた先の見えないようなことは何も読めなかった。世の中は将棋と違って流れを変える可能性は無限にあるけれど、将棋は盤面のルールの中で物事を考えるゲームだということが理解できるので想像することが重要だと思うのは間違っているような気がする。経験が無いことにはどのように頭脳がある棋士であっても強くはならないというのが私の持論だった。

そのような観点からすると個別株投資をはじめて数週間ではあるがチャートと数字を見ていると何となく良い株と悪い株の判断が私自身であってもつきそうだった。大金が絡んでいるので見ている時は凝視させられてしまう。イチローのように安定した業績を残す可能性を秘めた株の持つ堅実性のある動きはどのような理由から立ち現れるのだろう。窓の外はぼんやりとした色の雲が動いている。山の向こうにあるおいしいパンの店の入り口を思う。レジの脇にあるカゴにはミミが時々入っていたがそれを時々バックの中に何となく入れて私は持ち帰った。線路の脇には奇妙な花の植物が多く群生していて草ではなさそうだがどこか発端になる場所からこの辺りに広がって咲いているのだと思うのだ。