バンコクのタクシードライバー

僕は時々考えているのだ。子供を連れた家族とすれ違う時に、どんな顔を独身者がすればよいのかということを。僕は、そんなふうに子供がいてもいなくても何も変わらないのだということを、時々痛感させられるのである‥。
例えば、僕が休日にスーツで電車に乗っている人を見た時のように。僕は、バンコクでタクシーに乗ると、それから、運転手と少し話をしていた。ソンブーンレストランに行くことを即座に否定し、別の場所へ向かっていた彼。彼は、あそこはすでに今頃混んでいるのだという‥。そして、日本人ならソープが好きなので、そういう場所へ連れて行ってやると彼は言った。タイ生まれのタイ育ちである彼は英語は堪能であるらしい。
タクシーがついた場所は外見がやけに派手なレストランだった。カニが飼育されている水槽が、そこにはあった‥。店に散らばっていたスーツの若い、韓国人のスタッフ。タクシーの運転手は一時間後にまた来ると行って、そして、そこを離れた。