アイスの虚しさ

毎日アイスを食っているのだが、ガリガリ君は食べていなかった。途中で棒からずり落ちることは恐怖だった。もう今は、50円ではあのバカでかい氷の塊は買えないのだろう。どこか90年代を思い出させられた。僕は何をしていたのか。外国人を見かけるのは、今とは逆に珍しかったあの頃。野球選手が、お笑い番組の中によく出ていた。桑田だとか。昼も夜も、視聴率を取り合うかのように充実した番組が秒単位でテレビはひしめいていた。歌番組も強力な存在だったあの頃。だって、まだ流行っていたから、歌が。誰もが知る歌があり、芸能人がいて、それを皮肉るモノマネ師がいた。しかし、いつから姿を消されたのだろう。別れの挨拶も無く、気づいたらいなくなっていた。残っていたのは、ARで作られたセットや恐竜だけ。でも、確かに、それで十分だったのだけれど。

冷房のついた部屋にいると一日は早かった。僕の人生は、どうなるともわからない、疲れの、ただ、その不安さに満ちているように感じられた。新しいと思って買ったジュースは、昔飲んだことのあるジュースの味とそっくりで、でも、昔の方が美味しいように感じさせられたように。通りは、車も数を減らした盆のいつもの景色が流れ、目を閉じると寝室の中は静寂に満たされた時を感じさせられた。僕はどこに行くのだろう、でも、誰も答えは知らないし、過去だけがはっきりとしているだけであることだけの時が流れた。