本と銭

冬の道を、本をブックオフで売るためだけに今日は歩いた。陸橋を渡り、電車を見下ろした手には紙袋を持っていた。やけに冷たくて乾いた風が、ダウンと服の間を吹き抜けていった。そして着いた店内の乾いた空気に目を伏せる、僕は暖房の風が苦手だったのだ。外は車がレースのように走り回るカーブ。僕はそれからスーパーに行ったのだった。イチゴだけは安くなっているスーパー。白菜とキャベツは姿を消した。それから、あらゆる魚の種類の類。不作なものは高い金を出して買っても美味しくはないと誰もが知っている。コーナーを曲がったところは、出口だった。そして僕はそこからぼんやりと出た。

街は潰れた店が多かった。あの寿司屋も昔はやっていた。知っているものは知っていたのかもしれない。不法投棄を禁じた張り紙を見た。

そして同じ陸橋を渡る。電車が駆け抜けた先には太陽が光っていた。それを少しだけ浴びた、街はまだ寒い。来週もまた冷たい風が吹くことだろう。