雨の回想

風に揺れる木の音がする、自転車の立てかけられたアパートの壁、そしてこの街。僕は何も考えていなかった。コンビニはいつものように通りを照らしている。海は静かだった、人だかりが、また駅から出てくる。いくつもの影を、そこに、落として、カバンが揺れる夜、僕は今日は何をしていたのかと思う。空に雲の立ち込めていた昼に知らない男から電話がかかってきた。電話を切ると、麦茶を飲み干して、作業を続けた。時々意味もなく立ち上がった。僕は、昔のことを思い出すことがよくあった。中学生の頃や、高校生の頃、何をしていたのだろうかと。僕はそして、何をすべきだったのかを、あらためて部屋で考えた。雨は降っては、止んでいるようだった。音が小さくになるにつれて、その存在自体を時々忘れた。僕は何がしたかったのかと思うのだ。教室で授業をいつも受けていたけれど。仲が良かったと言えるような友人はどこにもいなかった。