昔のことを思い出す春

何も思うことを無くして、自転車で、街を走っていた。SEとやりとりする機会も増え、交差点で足をつけると、何の会社なのか実体がわからなくなりつつあると思っていた。本屋に行くと、CHATGPTの話題でもちきり、古いユリイカなどのバックナンバーがあり、そこは好きな書店だった。何も、でも、買ったことはないのだが‥。書店というのも、スタイルを持たないことには生き残れない気がする、他の書店には無い品揃えとしての、何かが。自転車で走ると、それまで見たことがなかったが、子どもたちがグループで遊んでいるところを初めて見た。中学生のようにも見えたけれど、最近は、男女でグループを作ることもないらしい。時々、子供の頃のことを思い出す、眠りに落ちていく時に、特にあれは何歳のときだったのかという風に。だいたいが、中学ぐらいまでは、近所にいるから、その後の、僕のそれまで思ったりもしなかったようなことを。

時々ギターを持っている若者を見かける、今でも、僕はそんな人はいるのだと思う。ラジオではイントロすらもなく、音自体を聴かなくなったけれど。でも、アコギだったかもしれない。僕であったとしたらリズムマシンでヒップホップをやりたいものだった。時は、流れたものだった。誰もがそれらをファッションとして取り入れていた90年代、僕の耳には五反田のマンションの隣に住んでいたカップルの、あの、男の叫んでいたライムの声が響いていたのだ。牢屋のような、小さな部屋ではあったのだが。今、あの時見た彼らはどうしているのだろうかと思うのだ。そして思い出すのは、ベルギーに旅行してきたという旅客機の隣に座っていた名前も知らないカップルだ‥。僕はそこでパリの市街で買ってきたカリントウのような味の菓子を一緒に食べていた。