バンコクは光に溢れて
  • 葉山

 

 

昼頃起きて、ぼーっとしているとすでに夜。そんな、最近の、休日だった。そこまで、激務で疲れているというわけではないのに襲われる睡魔。そして休日が面白かったのかと振り返ると日曜の夜に面白かったとは全く何も思わなかったのだ…。何事にも執着しなくなった最近の僕。特に取り立てて欲しいものも何もなく。冬と言うこともあるのかもしれない。子供か、学生のようでもある。しかしとにかく飽きるのが早くなった。しかし今日も昨日食べたものをできれば食べるということは避けたい。何より、味自体を感じられなかった。作るのに手間がかかるので、無理して食べてはいるが…。そして満たされたこの僕の精神の中で自ら厳しい環境に身をおいてみるのも一つの手かなと思うのだ。

 

今年思い出に残ったことの一つ。それは、一人でバンコクのサイアム・スクエアを歩いていたことだ。見たことのない風景と、日本人ではない人たちの中。銀座よりも、一見スラムの様に見える廃れた街角も、そして、深い趣を持って見えさせられることの不思議さだ。僕はATMで金を引き出して、後ろに立っていた男と声を交わしたりしていた。マンゴータンゴで食べたマンゴーはそうでもない味だったが、そこでは、干しマンゴーの土産物を買い込んで、帰るバスターミナルへ向かうタクシーを探して歩いた…。しかしこれだけ安ければNYCのように地下鉄を使う必要など感じさせられなかったのだ。

 

そうして、僕は乗ろうとしたタクシーの前で張られていたトゥクトゥクに呼び止められ、それで、ターミナルへ向かったのだ。250円だった。ぬるい風を受けながら、ぼやけた街並みを見つめていた後部座席。ビーチサンダルに素足で信号待ちで男の運転するバイクの後部座席にまたがっていた女たち。そしてしかし、日本とは違ってバンコクで暮らせば、僕も人並みの生活ができるのかもと少し思ったのだ。信号は青に変わった。来るバスが来たら案内してくれるよう彼は親切にそこにいた仲間の人にもたのんでくれた…。しかし、どこかフランスで見た広場のように幻想的で、でも、暖かさを感じさせられたターミナル。僕はそこで、紹介してくれた男と、アイフォンの翻訳を使って他愛のない話をしていた。