
やはり、何に金を使うかというのは重要な気がしている。そのことが、自分の価値を決める重要な尺度の一つだ‥。ある人は漫画やサブカルに金や時間を注ぎ込むのかもしれない‥。ある人は絵を買うことで賃金との折り合いをつける。車に精力を注ぐ人も、時々いることだろう。どれも、他愛のないことといえばそうなのだが‥。sは風俗には金を出し、他には一切金を出さないという生活。ある意味それは人との縁を切っている生活だとも言えるわけだが。彼は多くの人が豊かさを感じるようなものに金は出さない。いや、そういう人は、日本人だけでなく外人も含めてほとんどではないだろうか。殺伐とした心象風景が、金を出した結果としてその行動からは垣間見れるというわけだ‥。
僕はといえば特に欲しいものは見当たらない。今の時代金を出してまで買いたいものも限られているといえばそうなのだが。今、誰もが欲しがるものなどというのは、あまりないのではないだろうか‥。本当に、自由だが不透明な時代になった。
旅行の方は中国人がやっている有名な店で汁なしラーメンを食べた。可もなく不可もなく、うまかった。300円ぐらいだっただろうか‥。その後マッサージへ。1500円も払えば1時間受けられた。オイルを選択できるとのことだったが、普通のオイルにした。ココナッツは、少し高かった。若いが、太めの女性にかなりなまめかしくてくすぐったいマッサージを受ける。僕は全裸だった。アロマテラピーというのはタイ発祥なのかと思いつつ。隣からは女性の、シリアスな微妙な吐息が聞こえてきた。あれだけ肌をネチネチ触られれば、そうさせられるのも仕方ないのかもしれない。
個人的には強烈な足つぼを期待していたが。チップは渡さなかった。不要なのかもと。女は髪をとかしながら茶を飲んでいるこちらをチラチラ見ていた。最近はコリは前ほどそこまでない。帰り道、すれ違う男に変な目で見られた。おまえ、女のところへ行っていただろう、と。
行きに賑わっていたバーベキューの店はもう静かになっていた。島なのに星空は見えない。生き遅れた人生を、これからどう修正して生きていくか、それ以前にもう、どうしようもなかった。今の仕事もいつまで続くのか自体はっきりしない。身体自体、胃や歯などの不調な部分も散見される。もっと何かに打ち込んで生きてこられたらよかったと、僕は、ホテルで、目を閉じた。