タクシー代600円

僕は恋愛自体あまりしてこなかったと思ったりもする。寂しいという感覚自体が不足していたからかもしれない。旅行記上の船は、タオ島にやっと着いた。エンジンが停まった時に誰もが、僕は、胸を撫で下ろしたのがわかった。まわりは皆、欧米人。ラテン系も多いか。中国人は少ない。大体が、スキューバかシュノーケルといったアクティビティ目当てだろうと思った。しかも安かったし、タイ人も悪い人たちではなさそうに感じていた。僕は多分グルメはそれ以上に楽しめるような予感がした。ハワイと比較してもだ。
ロゴのコンペに会社で応募したのだが、最近は応募者の作品がリアルタイムに見られた。ロゴは誰もが考えるようなことは似ているように感じられるというわけだが…。歩いた。船は着いたが、ややガイドブックとは違う桟橋だと思ったのは微妙な感覚によるものかもしれない。桟橋それ自体が、ただのコンクリだった。タクシーのカードを持った人が出迎えていた。親切な人が、タイ語で、僕のホテルの名前を伝えてくれたけれど。僕はホテルからの送迎を予約していたはずだった…。しかし、出迎えはいない。
僕は仕方なく、200バーツでタクシーに乗った。相当リュックの重量が重すぎた。ネットで調べると、道のりは2キロはあった。僕にしてみれば、このリュックはとにかく重いのである…。運転手は、笑顔で応じてくれた。仕方なく出した600円でも、向こうの人にとっては大金だった。