春の記憶
ファイル再生でいろんな昔の曲をかけた。僕の部屋の、そこに一人の人間としていた日を思い出して、懐かしいオレンジみたいだった。どれだけの時間を過ごしてきたのだろう、そこで。車に乗った日もある。山を見たりもした。入る部活に迷って青かった夜空を見た日もあった。海、そして航空機と、そこにはいつも空があった。髪を振り乱したこともある。風によってではなく、湖の満ち足りた街のどこかで病んでいた、心で。景色は深く、暗かったけれどどこにまでも続いた、突起のある目黒川の桜の道みたいに、でも、そこまで、去年ほどではなかった。真紅の色をした枝に緑が混じっていたりした。こういう風に心は急に暖かくなったりすると、たぶんそうなるのかもしれない。髪を振り乱して、自転車で走った、街を、明日に。