父と会った日

久しぶりに東京駅に行って、父に会ってきた。僕の久しぶりに見た父の姿は、変わっていないようでいて、何となく昔と変わっているように見えた。実はコロナになってからというもの、ずっと父とは会っていなかったというわけで。しかし僕は三年前のことを思い出していたのだが、僕自身もかなり年老いてしまったのである。東京駅の、その、広い広場を父は見たいと言うので、そこから地上に出て少し歩くと、今日は6月だというのに暑いぐらいによく晴れていたのだがかなりそこを歩いている人は多くいた。父は昔働いていた職場のビルが見たいと言ったので、そこから、そこへ、父の後を追うようにして僕の体も歩く。父と、まばらなようでいてどこかかたまったような人混みの中を。そのようにして歩くのは何度目だろうということを、そこで思う。日差しは通りの中でも前述したように照りつけている。すると父の働いていた会社の建物が見えてきた。

建物を何枚か撮影した後で、二人で八重洲ミッドタウンで飯を食べた。特に何も見るものもなく、僕は父がここを指定した理由は働いていたビルが見たかっただけだったのだと気付いた。それなら最初から言って欲しいのにと思ったが、いつものことだったので、慣れていて、そこで、そして、台湾料理を立ち食いで食った。ガラスの壁の向こうには、放射状に鉄パイプの組み上げられたモニュメントが見える。平日とは打って変わったようにして、スーツ姿のサラリーマンの姿はなく、観光をしている外国人の姿が多い。台湾料理をひとしきり食った後で、父は重要な話をして、近くに出店していたTOKAIコーヒーというのを飲んだが、かなりおいしい。ランク的には、僕はスタバは超えていると思った。それから、店を出て、ビルを出ると改札で別れた。父とこのようにして会う回数も、ただ、残り少ないのではないかと今日は思った。