海で遊んだ子供

同じ時間に夜道を歩いていると、いつも、すれ違う人の顔ぶれは似ている。光に、時々見えたりする見知らぬ人の顔を見ながら横をすれ違っていく。自分の行きたい方へと。石につまづいたりもしながら次の場所へと、僕の足は、確かに長い道の上を進んでいる、今もこうして机の上で何かを思っているようにして、でも、遠い昔の思い出が胸をかすめる、子供の頃に浜辺で出会ったことのある、あの名前も知らない子供と遊んだことを。日が暮れると彼は親の運転するワゴンに乗って、手を振ってどこかへ行ってしまった、彼は同い年くらいのように見えた、今でも時々当時流行っていたラジオの歌を聞くと思い出すことがある。思い出は歌とともにあるのではないかと思えるほどに、鮮明に思い出される。