冬の胃カメラ
冬の胃カメラ

胃カメラでは僕は右の鼻の穴を使うわけだが、それぐらい大きさに違いがあった。なぜそんなに違いがあるのかは僕はわからない。たぶん生まれつきなのだろう。今年は両鼻に薬を入れられ、結構きつかった。時間も少し長く感じさせられた。部屋は暗くしたほうが楽な気もしたけれど、管は細くて長い。全部で何メーターあるのだろうか。でも、やっと検査が終わると、心は長距離走を走り終えたかのような開放感で満たされた。僕はそこに横たわっていた。唾液のついたティッシュペーパーと、胃液。コロナに感染していたら、周囲の感染は免れなかっただろう。苦みのある薬と、時々浮かんだ、悲しい思い出の記憶を頭にちらつかせながら、淀んだ空気の残る部屋を出た。昨日のんだワインが残っていなくて、僕は、でも、良かった。

帰り道を歩きながら、夏に検査をしていた頃のことを思い出した。夏のほうが朝食を抜くとキツかった気がする。アスファルトの上に当たる光の下を目眩をかかえながら、僕は、雅叙園から出たのだと思う。道は、桜の季節を思い出させた。座ったベンチと、傾斜のある坂。誰もが、どこかにいく姿がそこにたぶんあった。