デバイス世界
デバイス世界

外を歩くと少しだけ涼しかったが、部屋の中は暑い。微妙な、髪の長さだった。しかし今日も雨が降らないとは。窓を開けては寝られないのも嫌になるけれど。夏は、蝉の音すらもあまり聞かずに過ぎたのだ。トンボの姿もそうだった。でも、歌謡曲では季節はあまり歌われなくなったものだ。季語の、自然とそういうモチーフは頭の中から消えて行く。一切お札を渡したり、受け取ったりといったことも無い。

今、街に出て人と関わるのはカフェの店員ぐらいのもの。病院の診察でさえ話すことを拒んでいるように見えた。コロナですべてが変わってしまった気がする。それで、長年誰も言い出せなかったことが、実現されたかのような。そのようにして、極端なデジタル化は機会の損失をもたらしたのだ。まるでポータブルデバイスに合わせて変化させられたかのように思える世界。振り返れば、どんな時代もそうだった。車に合わせて道路が整備されたり、レコードに合わせてアナログな楽器の曲が作られたり。それがまあ、自然だったのだろうけれど。世の中の潮流には勝てない。