昔の遠い記憶
トラックが走っていないだけで、街の音は静かだ。夜も静かに眠ることができる。スーパーに出かけるとすれ違う人も少なく、遠い郊外の街にいるみたいに思わさせられた。昔は、祖母や祖父の家で郷土料理を食べたことを、今でも思い出すことが時々あった。あの味は、でもどんな味だっただろう。もずくや海鮮といった、二度とは口に入らないような深い味の料理であったようにも思えた。塩っぽかったような、甘かったような。なんとなく、それは。僕は時々階段を上がった。屋上からは田んぼの向こうに山が見えた。そこに、いくつも盆栽が並べてあった。そして、一つ一つをそこで見て回って歩いたのだ。見事な盆栽だったことを覚えている。この景色の中で裁断する気分はどんな感覚がしたのだろうか。光を、花火をしたときに見たこともあった。そんなことを考えていた。階段を、そして降りたのだった。