6月のはじまりに

昔アメリカにいたことを僕は時々思い出している。僕は蛍光色の腕時計をしていて、店の店員がそれを気にしてくれたものだった。でも、何の変哲もないような気もしたけれど、アメリカならではの出来事だったような気がした。友人とスタバに入ったあとで、ロータリーにあった厚めのペンキの塗られた緑色のベンチに僕は腰を下ろしていた。彼はそこにはいなかったような気がする。ホテルに帰っていたのか、それともどこかに行っていたのかはしらないけれど、歩き出していた気がする、僕は。まだ会社は辞めてはいなかった頃だった。