雨の日の部屋
僕は昔時々外をランニングしていた。近所にはかなり広い公園があったので、そこまで行っていた。サッカー用のハーフパンツを僕は履いていた。そこまで行って、ある程度の時間が来ると帰ってきていた。陸上競技をしていた頃に集団で走っていたことを、人気のない公園の中を走りながら思い出していた。僕は陸上をやるべきかどうか、中学に入るときに悩んでいたことがあった。サッカーもやってみたかったからだった。僕は、しかし、結局サッカーは選ばなかった。今その理由を思い出すことはできないけれど、サッカーは今でも選ばないような気もする。緑の映える、5月頃だっただろうか‥。僕はその日も走っていた。何かを忘れたようにして。
それから何年かして、人通りの多い、渋谷の街を歩いていた。よく行っていたドトールコーヒー。涼むには最適の場所だった。そして、東邦生命ビル。何を、風がよく通っていたレンガのエントランスのベンチで考えていたのか。4年ほどそこで連絡を受けた会社で働いた。あまり良い時間ではなかったのかもしれない。埼京線では僕は何度か危ない目にあったし、可愛そうな被害者の顔もそこでは見かけたものだ。でも、僕は、どうすることもできなかったのだ。電車を出た僕は歓楽街の間を抜けて職場まで歩いたのだ。人臭い味のするソバやランチを昼は食べていた。
僕は時々今でも思い出すのだ。誰も今は知らない祖母からの荷物のことだ。僕の内的現実のようなものだろうか。今では人が生きた証とは大げさなものではないと、理解しているから‥。