昔、佐野元春の歌に情けない週末という歌があったが、今日の僕の週末もまさにそんな感じだったんだ‥。オリンピックばかりを見ていると、夕暮れで、時間を忘れてしまっていたという。しかし、朝イチからのスノボの跳躍というのは、晴れ晴れしくて、爽快で、あまりにもまぶしかった。雪の上に差していた日を見ていると、中国も、日本と同じぐらいの時間ではないかと錯覚させられた。風の影響で着地が乱れている選手の様子を眺めながら昔のことを思い出していた。昔バスに乗って、近郊の山にスノボに行くことに誘ってくれた友達がいたのは、ラッキーだったと思うのだ。夜行バスの中で隣り合わせた様々な若者の姿が今でも目に浮かぶ‥。肩を寄せ合うようにして座席に腰掛けていた彼らは、今ではどうしているのだろう。バスは、高速道路の帰り道の景色を、昼頃、流れていた。後ろのカップルと友達の男が、不快そうな顔をして、僕の隣に腕を組んで座っていた‥。
ドアを押し、気を取り直して部屋から出ると、川沿いの景色は別世界のように見えたものである。水面はいつものように飛沫もなく、鏡のように木片やカモなどを水面自体の上に映し出していた。長い、トラックの行き交う工場地帯の道を抜けると、看板を空に掲げているスーパーが見えてきた。端のどこにも歩道もない、少しだけ砂利の混じったアスファルトの道を歩いていると、宝くじ売り場の裏手にいつのまにか、でも、立っていた。ビニール袋の持ち手を持った僕の姿が出てくるまで、一時間ぐらいの時が流れただろうか‥。自転車がいくつも群れをなして、でも、いつものようにして、そして、停まっていた。
空を見上げながら部屋に戻ってテレビをつけると、まだ、中継はやっていたのだった。さっきまで女子の出ていた競技は男子の種目としてすべてが置き換わっていた。オリンピックは夏も行われていたが、冬もとなると、やるほうも見る方も大変なものである。