いちごジュースと、夕暮れ
いちごジュースと、夕暮れ

 

免許の更新をしに行って、帰ってきた。あまり、普段見慣れない、様々な人が行き交う試験場の光景を眺めながら。僕は自分の番号が呼ばれたのを聞き逃していたことに気がついた…。横目で行き交っている若い女の視線を感じ取るようにしながら。多くの、汗でネバついた肌の色を世界に向けて露出している女たち…。予想よりもだいぶ空いていた。いくつかの、不味いラーメンの記憶の中に見えたような気がしたそこにいた人の生き様。僕は新しい免許を受け取って、そこを出た。

 

僕が思い出すのは過去を生きていた頃の写真の姿。5年前とさほど変わっていない顔。僕が埼玉で働いていた頃の、変態だった記憶…。ヘンなシャツを、写真の中の僕は着ているようだった。そして僕は今、何を求めているのだろう。もう何もかも、異性を求めることに疲れてしまった…。海の見える外を、遠くを見ながら、5年前にそうしていたように、ぼんやりと歩いた。我を忘れたように無数の貝が岸壁にへばりついている…。クラゲも死んだように、まわりに漂っていた。何ということのない写真をそこで撮ってみたけれど、あまり感動はない風景だった。そして、家に、脚を向けて歩いていく。今夢中になっていることは、多くの人には無いのかもしれない。思い浮かべているそんな暗い考えの中を。

 

怪奇ホラーの趣向についての思いを巡らしながら。フルーツジュースの安売りをやっているのに、駅を出ると気づいた。そこまで金は無いわけではないのに、安売りに走ってしまう僕。街を歩いても、音楽もファッションも、興味をそそられるものはもはや無い。賑わう通りに、それらを楽しむ女や子どもがあふれる。しかし怪奇ホラー。それは、サブカルの一種なのか…。それは国際的なアートや音楽のジャンルにおいても、通俗的でありながらも確かに見られる。フェミニズムとも、密接に絡んでいるのかもしれないようにも思える…。女性的な精神の表象の一つなのか。また僕は歩きだす、そして、そこでイチゴジュースを買って。