
様々な思いをめぐらしながら、チャーシューを煮込んでいる。そして、生きることの何の保証もない時代について考える。そうすることで、ひどく汚れたキッチンの壁に目を閉じている。僕は、立ちどまることなく、一体どこに行くのだろう、というふうに。しかし、どういうわけか、昨日も街では20代の男女ばかりが目についた。若い人は、シュープリームの袋を持っていたり、制服姿の女子高生など、そういった人ばかりだ。僕はgwの初日、様々な思いを巡らせながら、新宿を歩いていた。ときには、遊びに夢中になっていたり、若い彼らは、一様に、自分の世界に没頭している。思い出すと、僕自身もそうだった気がした。アイポッドで、ラブソングばかりを聴いていたあの頃…。しかし異性には目もくれず、当時は、僕の思うことばかりを追いかけていた気がした。僕の頭の中には、尾崎豊やアイコの曲ばかりがいつも流れていた…。
一人で入る人はもう、珍しくもないというような顔をしていた若い20代の店員。今日は、僕は一人でカラオケにいってみた。カラオケに入るのは一年ぶりぐらいだろうか…。店は休みだというのにガラガラ。そして30分のつもりが、1時間ほど歌った。しかし、昔の邦楽ヒット曲は歌いづらい曲ばかりなのだ。僕が来なかったのも、そういう理由があるのかもしれない。さらに、最近ではなく、昔の方が良かったミスチルを歌ったけれど…。もう、女性に向けて歌を歌うという時代ではすでにないのかもしれない。ハナビあたりまでが限界だろうか…。酒を持ってきた若い女性店員に顔を覗き込まれ、ニヤニヤされてしまった…。しかし、そういった曲を入れてあえて歌うのも、古くて、虚しい。
いつまでも青春の名残を引きずっていたくはない。そしてもう、そういったカルチャーから脚を洗いたいと思っていた。僕は今はもう、持っている金を使うべきところはそこではないはずだと、わかってはいたけれど…。最近まで忙しかったので、社長が韓国料理店に飲みに連れて行ってくれた。しかし、少ないメンバーなのに、年齢層がそれぞれ違うので、共通の悩みや話題を探るのが、難しいけれど、少しだけ面白い。そして最後は、広告が発するべき正しい表現や、とるべき態度などについて話したあと、僕らは夜闇の中に、消えたのだった…。