
人出の少ない道。何か、考えがあるというわけでもなく、土曜日はsと川べりの道に影を落としていた。浅草線で、子供や赤ん坊の姿を見たけれど、今は、自分の生き方を深く反省している。バカだったと。20代で車を廃車にし、クビになり、会社を転々としながら影のように生きてきたのだ。自分で選んできた道だから、何にしても、すでにもう、この僕にとって子供は物体のようにしか見えず、子孫を残すのだという未練自体無いように思われた…。
ただ、自分に正直に生きてきた男だとも言える。喫茶店のシートにいたはたから見れば、どうしようもない人間S。彼に会うのは、久しぶりだった…。そして私は、彼のような生き方をたどってきてしまった。
恋人だと、こうはいかないというのはある。人と自分のことについて赤裸々に話すのは久しぶりだ…。私だけではなく、独身で一人暮らしの人はそうかもしれない。外に出ると、すでに暗かったが、歩いた。ボードウォークをランナーたちが行き交っている。生きることについては、あまり考えない方が良いといえば、そうなのだが…。そんなことを、最近はよく考える。伏し目がちな目をしていた。最近読んだ小説の登場人物のように、親もなく、子孫を残せないクローン人間には、悲しい結末しか待っていないのだろうか…。幼少期に与えられた美しい思い出は、無意味なものにしかならないのだろうか。私にとって、そんなランナーでありつづけることは、生きがいになるのだろうか…。
ある年のゴーヤは実をつけ、種を多く残したが、ある年のゴーヤは葉を多くつけたが、実を、あまりつけなかった。二人で、デニーズで彼と話をしていると、彼のタバコの煙が私の肌のアレルギーを悪化させた。昔アパートで栽培していたゴーヤを捨てるのに、土埃をかぶって大変だったことを思い出す。