チェックスカートの女の子
  • 葉山

 

トワイニングの紅茶を買っていたら、チェックスカートの女にタックルされた。無意識でもあり、故意でもある行為。本能という迷惑行為は、どうしようも無いから規制するのがやっかいだ。そんなカルディの菓子の山の中で、胃の調子が回復を見せつつあることを、体内で感じさせられていた。最近の僕は病弱な日々を送っていた。でも、思い出すことなど何も無く、とりとめもなかった。賢者のような考えをしたいとは思うけれど、疲れていた。単に人間だったからというわけではない。

 

ただ、胃が弱いということに対処するのは、簡単に見えて少し難しい。何も食べなければ良いというわけではないから。コーヒーを飲まなければ胃液自体があまり分泌されないという。肝臓が悪ければ酒を飲まなければ良いという話と同じでは、少しなくなってくる。家系的に胃が弱いのは間違いないが、今後は食べるにしても、気を使わなければならない臓器となったわけではある。

 

女性に対して失礼なことを、僕が時々することがあるという記憶。学生の頃から、僕は何度か、かわいい女の子を深く傷つけてきた。なぜ、そのような行為をと思うけれど、常識が常に求められたからだったという風に、言えるわけだ。挨拶から始まって、とても儀礼的なものだった。つまり、そういった何かが欠けていたのかもしれない。もちろんそんなことは気にしないという子も中にはいた。本当に稀なケースだったけれど。僕は、真冬になると、時々そんなことを考える。後悔しているわけではないが、僕の、単純なネタとして。寿司は高級料理なのだろうか、という風にだ。もう少し積極的に生きていれば、僕は、こうはならなかったのかもしれない。昨日、残雪の残る横浜で、アイドルの握手会の看板を見た日のことを思い出した。当時、面接で、あちこちを回っていた。公衆電話を使いながら、やや必死だった。それから10年後、新宿で待ち合わせた派遣会社の同い年の女性。どこか懐かしいような、そんな顔の感じがした。不採用が多く、何度か連絡を入れると、いつものやり方で、暗に僕を煙たがっていた彼女。そのようなあしらいを肌で感じたのはあまり昔のことではない…。

 

僕はあの日、バンコクで、土産を買ったものだった。ちゃちな子供向けのキーホルダーで、店員メンバーにかなり馬鹿にされているように感じさせられた。私の方としても、100円もしないそれを、少し馬鹿にしてはいた。