
僕はそれから、ホテルへ帰って、ミートソースパスタをつまみに酒を飲んでいた。テレビを見ていると、ベトナムでもちゃんとした放送があるようで、だいぶローカル感のある映像に、妙にキレイな女優が出ているという趣の番組をビールを飲みながら見つめていた。浴槽はなく、しっかりと疲れは、あまりとれなかったけれど…。翌朝は早いこともあり、それから、すぐにベッドに転がり込んだ。土曜ほどは、窓の外はカーニバルのようにうるさくはなかった。通りが一本離れているというのもあるのだろうか…。初日ほどには寝不足にはならなかった。翌朝は早朝にチェックアウト。飯を食い、荷物を信用ならないフロントの女性に預けておいた。物色される可能性があるので、やはり、貴重品は入れなかった。しかし、ベトナムは本当にキケンすぎる国だ。スキを見せていたら十回は被害にあっていただろう。早めに飯を食ったのは良かったものの、ツアーの招集時間をロビーの女性が間違えていたのか、僕が判断を誤ったのか、少しロビーで待たされた。やがて、赤いポロシャツの30代ぐらいの男が僕を呼びに来た。僕は、こういった海外のツアーに参加するのは初めてだったが、ツアー会社の前には、主に生足をむき出しにしたかのような若い人たちだったが…人がかなり集まっていた。カオスなので、運が悪いと、置き去りにされてしまうかもしれない…。
彼は僕に、「私は英語ができるけれど、日本語も、少しだけ話せます」と言った。日本語に関しては勉強中なのだという。あまりその意味を考えるのはやめておこうと思ったけれど、彼のような歳でベトナムで働いている人はあまり通りで見かけないということが、その意味を暗示しているようにも思えた。とにかくまあ、いろいろな折節に、僕に対してそのような事実を感じさせる態度を彼の目には感じさせられた。しかし、日本は今、松屋に入ってみればわかると思うが、本当に人手不足なのである…。介護の現場においても中国人のみならず、ベトナム人も多く働いていることだろう…。そして僕は今こうしているように、そういった伸びしろのある国のアツイ光景を見るのがスキだった。あれははるか昔、90年代頃だろうか…日本からとうに失われてしまったもの。すでにティーン向けの産業の発信自体、枯渇しきっている。アイフォンを基軸としたネットビジネスの隆盛が、そのことに拍車をかけた。彼のその仕事で得られる賃金を考えると、日本で働くということは、おすすめできる選択肢の一つであるようにも思えたし、実際、その目から察するに、そのことをたぶん彼は考えているであろうことは、容易に想像できた…。
そして昨日はアイフォンを修理しに、吉祥寺へ。最近は、コーディングばかりで疲れていた。根気と気力の世界というか。JSさえキチンと理解できていれば…。手打ちばかりで、実力がないと、その場しのぎになってしまうという、行為の内容の薄さ。やはりコレばかりは経験がものを言う世界でもある。何より適切なグラフィックを実現するために、どのような処理を取るべきか。最近は動きを入れ込むのは必須。さらにデザインクオリティが優先されるとなると、入力は複雑で、非常に大変だった。