200円の博物館

ベンタン市場を出るとさっそくタクシーを使った。タクシーなど、国内においては乗れるものではなかったが…。そうして、戦争博物館に着くと、歩いた…。ビンチャンという、信頼できるタクシー会社の名が、ガイドブックには出ていたので、それを、利用。チケット売り場。入場料200円。前には、少し歳上っぽい男、2名。かなりインパクトのある写真ばかりなので、案外つまらなくはなかった博物館だった。あの男たちは友達だったんだろうか…。彼らがここに、来ていた意味とは。中はパネルばかりの展示、しかし、特に二階はすごいものがあった。何というかそれらを見ている時、無意識に涙が出てしまったけれど…。ホルマリン漬けの奇形児だとか、写真だとか。しかも当事者本人2名が、アメリカのオレンジという薬剤制作会社の名を冠した部屋に車椅子で座っていたのだ…。

外にはベトナム戦争で使用された戦車や、ヒューイという映画などでよく見かけるニックネームのヘリ。壮絶な拘束具、独房やギロチンの展示もそこには。日本が勝っていたら、同じような建物は国内に存在したのだろうか…。ただベトナムは勝ったわけではあるが、被害の甚大さがあったからこそこの博物館があるわけで。芸術というわけではないけれど、こういった誰もが理解できるような生々しい展示は目をみはるものがある。しかし日本には、戦争を扱ったスペース自体、あまりない。勝った国だったからこそ、大々的な戦争の展示が可能だったのである…。僕は、カンボジアのキリングフィールドにしても、ベトナムにしても、人間の身体を通して展開された想像を絶する出来事がアジアの片隅では繰り広げられていたのだと実感させられた…。