遺跡にまつわる人々と

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昨夜までの最悪なベトナムの夜を思い出しながら。僕は、それから、しかし、また風呂に入って寝た。7時30ロビー集合と、翌日の朝は早すぎた。しかし、昨日と同じ22歳の若者がそこで僕を待ってくれていた…。ベトナムでは、なんというか、こうはいかないだろうという気がしたけれど。バイクを出す時、彼は37ドルは持ってきているかと僕に聞いた。僕は、そんなことは聞いていないと言ってあわてたが、遺跡巡りにチケットがいるのだということを察するのに、それから少し時間がかかった。彼は今日は曇りだから日の入りを見るのは無理だろうと言った。確かに、昨日とは打って変わって今にも雨でも降り出しそうな天気だった…。やや大きい建物が少し走ると見えてきた。僕はそこで顔写真の撮影をし、チケットを買った。遺跡巡りにしては37ドルとは、かなり高い値段だ。彼のバイク代を含めると6000円ほどになる。チケット売り場の店員は、愛想が悪いわけでも良いわけでもなかった。待っていた彼のバイクに乗って、僕は、1つ目の遺跡へ。何も遺跡があるような雰囲気はなかったが、彼はわりと大きな池の前でバイクを停車させた。どうも彼の話す英語は適当なところがあって意思の疎通がやや取れないが、2時間後に戻ってきてほしいというようなことを言われた。そして彼はここがアンコールワットだと言った。

池を越えてわりと長い道を歩いていると確かにアンコールワットが見えてきたが、どうもアスセスしたのは裏側からだったようで、若干感動が薄かった。ただ、時間が早いこともあり、閑散としていて、雰囲気的には抜群だった…。気になる中は石の回廊になっていたが、地面には修行のためなのか上下の起伏がかなりあって、老人には数メートル歩くこと自体、困難だろう。実際、観光自体を断念しているアメリカの老人を、道中何人も見かけた。彼らは端に腰を下ろして薄笑いを浮かべ、失礼な質問を通行人に対してぼやいていた。そしてジョークと、いつものようにそこに付け加えていた。ロッククライミングのように塔の上へとよじ登り、上で風を感じる、その繰り返し。ただ、見晴らしはよく、出来の良い建築模型のジオラマのような風景が遠くには果てしなく広がっていた。建物の中を歩いていたり、外の芝生を、歩いていたりする人。僕は正面の入り口に回り込むのに四苦八苦した。そこには写真を撮る売り子がいたが、アイフォンやデジカメ主体の時代なのでどうしようもないだろう…。大判プリントにでもするのだろうか…。ガイド中のガイドも中にはいた。ただ、撮影ポイントは心得ているが、知識には欠けるような気がするガイドたち。英語を理解できないかもしれないし、経験上、とにかく、ツアーなどのガイドは人を連れて行く以外にあまり意味がない。たとえ、モチーフがアンコールワットだったとしても、ベトナムの爆撃の跡地であったとしても、そもそも彼らには時間も持ち合わせている知識もないのである。