季節と鏡

雨が今日も降っているということを、緑に、公園を見ることによって知っている。存在する静けさの中にある音に。自転車で駆け抜けた時を目によってではなく思い浮かべさせられながら。それは存在しない時間なのだが確かなものとして今は、ただ、車の音だけがする何でも無い日の、時の流れたその、午後に。僕はこうしていることだけが確かなんだ。暑かった夏は海に出かけたものだった。秋は虫の音が鳴いていた。自分であるのだということを思うこともなく。今日の花火は中止だったと、ネットのニュースで知らされた。時の流れはあまりにも早い。自転車は濡れている、花のそばで。自分であることなど昔は考えなかった。今は自分であったことだけ、花の咲いた色に空が見える車、僕のではない、カラオケボックスの青い壁紙。