バイタクの彼のこと

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僕はおっさんなので、こういったことは日本ではありえないというのが一つ。僕は遺跡の間を歩いている時、若干迷子になったので、道をたずねた子供たちと少しお喋りをしていた。ベトナムではまったく学生以外の子供自体を通りで見かけなかかったというのも、一つだった…。僕が何となく英語を教えている時に、けっこう素直に聞いてくれるので面白かったが、一人のやせた背の高い少女が「こいつは変だ」というようなことを言いだしたので、場は一気に冷め、解散してしまった…。そういうわけで、ここカンボジアでも僕が変なおじさん扱いであることには、何のかわりもなかったわけだった。彼らは、その後で森を僕がさまよっている時に声を掛けてはくれたけれど。しかし、森以外の印象に残るのは遺跡だけなのだが、どれもが左右対称に作られているので、記憶を頼りに歩行していると絶対にどちらから来たのかということを間違えてしまうのである。僕はあまり方向オンチではない方だったが、その時は完全に迷子になっていた。しかし、まるで鏡の中の迷路のよう。だけど、どうにか運転手の待つバイクがトムの前で待ってくれていて、そこでバイクに乗ることが出来たわけだったが、南門自体を拝むことはできなかった。この南門は大したことがないと思っていたのだが、けっこう大きくて壮大な作りだったので、今思うと見ておけばよかった。彼はそこで、仕事が早く終わるのを焦っているようにも見受けられたが…。

彼はその遺跡に来る前だったが…、何となく、葉っぱをかぐような仕草をした。だから僕は次にどこに行くのかと聞かれた時、その仕草がマリファナのことかと思っていて、冗談めかしくそのしぐさをしてみた。しかし、彼はぽかんとしてあっけにとられていたので、どうも違う意味だったのかと思い、全く合点がいかなかった…。彼は、カンボジアに来た時にエロマッサージという言葉を確かに吐いていたような気もして、何となくお調子者なのかと思っていたが…。どうも、最後まで真面目なのか不真面目なのか、親和性がとれなかった彼だったが、この国を良くしようという愛国心は至るところで感じさせられた。

そして、天気が悪いのでやめとこうかと言われたが、日の入りが見られるというテンプルに行くことにした。それは、僕の貧乏根性というものである。そもそも、カンボジアに来るためだけに2万3000円の航空券を買っているという事実が背後にはある。そこにつくと、やはり神に見守られていたためか、運良く雨は止んでいて、僕は勇んで、登山道のような道を上がっていった。途中、あきらめたかのように見受けられる人が何人か。なんとか頂上につくと、見晴らしが良い場所で、そこで写真を何枚か撮ったのだった。