光の底に掌を

 

二年ぶりに出かけた 海
波もなく 穏やかだった 海
僕の疲れが そこに 何も見えなくなる
魚を 何匹も見かけた僕だった

 

僕の心の中には何もなかった
自分であることの他に 今 僕は
僕が人間であることを知るために生まれてきたのだと
何も 音のない 波紋の中で思う