米軍施設の最寄り駅で

僕は見ていたのだと思う。通り過ぎてきた季節を。そして、川にかかっていた橋を。魚はそこにいたけれど、ぼんやりしていると、いつのまにかどこかに消えた。僕は歩き出した。でも、どこに向かってだろう。どこに向かって、その、どこに?気に入って聴いていたCDはノイズが乗るようになって、今は、気づくともう、聴いていなかった。それを借り直そうとも思わないし、買おうとも思わなかった。その曲を、どこか急用で知らない街に出かけたときに、ふと、思い出して、知らないふりをして聴くのかも知れなかった。木々の、流れる景色の合間に。それから、よく芝の手入れされた倉庫が一つ。

神奈川に良くある、米軍施設の倉庫なのかもしれなかった。食品関係の会社のものだろうか。わからなかった。戦闘機がよく飛来していた。良く音が、響いていた、坂を登るときに。新宿まで500円ぐらいだっただろうか、僕は時々出かけたけれど、確か待ち合わせで下北沢という場合が意外に多かった。古い友人と、どんなことをするというわけでもなく。駅前にあったCDショップは、今はもう無くなったのかも知れない。あらかた、あったものから無くなってしまった。無くなっていないものは今もそこにあるのかは知らないけれど。